神田隆 堀雄二『警視庁物語 深夜便130列車』

11/12土 ラピュタ阿佐ヶ谷『警視庁物語 深夜便130列車』(1960東映 飯塚増一)

http://www.laputa-jp.com/laputa/program/tokyo_eigachizu02/sakuhin2.html#17

(※結末あり注意→) http://movie.walkerplus.com/mv22697/

『警視庁物語』シリーズ13作目。

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↑ 堀雄二 木村文武 神田隆 花澤徳衛。木村は聞込捜査の過程で出てくるがこのスチールのように署内で聴取されるシーンはない。

同シリーズ既見2作(59『遺留品なし』63『ウラ付け捜査』) ↓ …

http://domperimottekoi.hatenablog.com/entry/2016/04/29/140942

http://domperimottekoi.hatenablog.com/entry/2016/05/15/132021

…も其々いいが本作が今のところ最秀逸。捜査物映画としては『七人の刑事 終着駅の女』(65)にも迫る傑作の域。上の ↑ 2作では堀雄二 南廣が中心コンビだが今回は南出演せず代わりに中山昭二が若手刑事役(後続数作出演したのち南と再交替の模様)。が最注目は何と言っても主任役 神田隆。序盤ではいつものように堀メインかと思わせるが中盤から神田が俄然主役級の活躍。とくに終盤の事件関係者女性(小宮光江)取調べのくだりは硬軟駆使して迫る神田の練達話術が固唾呑むリアルさ。堀は相変わらず独特の抑えた名演で魅せるがこの度は一歩脇へ退く。花澤徳衛 山本麟一ら他レギュラー陣も安定。中盤一度舞台が大阪へ飛びそちらの捜査陣 加藤嘉 山茶花究 今井俊二(健二)らが洒脱な関西弁で協力するところも目を惹く。木村文武 織本順吉 河野秋武 清村耕次 菅井きん 稲葉義男ら名脇役陣が聞込捜査受ける側でちょい役出演。子役で風間杜夫もいたらしいがあとで知ったため認識できず。

お話の面の最見どころは少ない手がかりから地道な聞込み&試行錯誤を重ねつつ犯人を探していく過程の迫真性にあるが所謂本格謎解き物ではない──つまり登場人物の中から名探偵的推理で犯人を当てるわけではない──にも拘らずミステリー的興趣を強く味わわせてくれるところが近年の捜査物(主にドラマ)を見慣れ過ぎた目には非常に新鮮。ラストの走る列車内での追い詰め劇は類例ない緊迫で瞠目。こういう場合に多い銃撃戦に頼らずとも大捕物のカタルシスを得られると実証した好例。また総じて捜査の様子が徹底して「過不足なく」描かれているのも大きな特色。つまり後年&近年の刑事物のようにわざと夾雑要素──刑事たちが矢鱈冗談を言い合ったり私生活が過度に関与してきたり心理面感情面が描かれ過ぎたり曲者刑事が妙に多かったり等──を加えることなく終始捜査のみをストレートに叙述していくので観客は常時集中してストーリーを追うことができる。そうした「過不足なさ」がのちに物足りなくなって現今のような複雑で派手な刑事物の隆盛へと変わってきたと思われるが…ある意味原点と言えるこの端的さ明快さは今こそ見直されるべきでは。
今特集(東京映画地図2)としては冒頭の汐留駅&ラストの東京駅等鉄道関連中心か。

 

余談その1 同じ東映の現代刑事映画の看板『相棒 劇場版』シリーズは殺人事件が別の大きな犯罪へと関わっていくパターンが特徴だが本作にも若干その要素があり無意識裡に伝統となっていたかも…などと妄想させたりもする。

 

余談その2 神田隆で個人的に忘れ難いのは本作からちょうど10年後(1970)の大河『樅ノ木は残った』最終回で奇しくも先日急逝した平幹二朗(原田甲斐役)とともに衝撃的運命に見舞われる柴田外記を演じていたこと。テレビでは時代劇含め悪役イメージが強いが『樅…』では出番僅か乍ら実直藩士役で映画俳優期の当たり役であるこの『警視庁物語』での役どころに少し通じる。80年代に60代の若さで不慮の事故死とは惜しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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