小杉勇 津島恵子 野添ひとみ『たそがれ酒場』

4/10月 神保町シアター『たそがれ酒場』(1955新東宝 内田吐夢)

http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/program/dancing_list.html#movie06

(※ネタバレ注意→) http://movie.walkerplus.com/mv24159/

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↑ 左 津島恵子 野添ひとみ宇津井健杉勇。本篇白黒。驚愕の大傑作。ひょっとすると国際級の歴史的映画ではとさえ。個人的には群像劇の面白さを井手俊郎の一連作群で開眼させられ中でも『誘惑』(57中平康)を現時点での邦画最高作に推したいほどだが本作も同傾向の魅力に溢れあるいは超えるかとも思える進取的成功作。誰が主人公か判然としない──と言うより主役脇役の別を要しない作劇が最大の特徴だが強いて言えば幾つかの重要局面に絡む小杉勇が一種の狂言廻しとして軸であり上のポスターもそれを踏まえる。俳優としての小杉を観るのは同じ内田吐夢によるサイレント作『警察官』(33) ↓ での主演…

http://domperimottekoi.hatenablog.com/entry/2013/05/02/000000

…の他 戦中の『野戦軍楽隊』(44) 本作と同年の『月に飛ぶ雁』(55) 自ら監督した『船方さんよ』(58) 等での助演があるが台詞の多さ&活躍度は本作が断然一番で役者面の底力改めて認識。また中盤で小杉が「カルメン」に合わせ突然闘牛士の振りで踊り出すシーンは見事な身のこなしに吃驚で特集テーマ=ダンス関連の一端となる。その際 牛の役をやるのが酒場の無銭タカり屋を演じる多々良純でこの人も既見作中最名演。踊りと言えば忘れてならないのが津島恵子で半ば過ぎから不意に現われ実質出番短いにも拘らず妖しい存在感とパフォーマンスで一瞬にして画面を席捲。舞踊実技経験のほどは未詳だが音楽学校出身なので才はあるのかも。『七人の侍』(54)の翌年にあたり最も脂の乗った時期か。また小杉 津島とともにトップクレジットの一角となるのが野添ひとみでこちらは2、3曲美声披露。名作『姉妹』と同年で川口浩との交際始まる頃か(翌々年大映移籍)。音楽面での最注目は舞台となる酒場付きのピアニストと歌手を演じる小野比呂志 宮原卓也。其々当時現役の音楽教授&声楽家とのことで長尺聴かせる演奏と歌唱は本物。ともに演技経験なしと思われるが終盤魅せ場あり熱演瞠目。他には中盤短時間登場し風のように去る宇津井健丹波哲郎 とりとめない酔漢コンビ 加東大介東野英治郎 如才ない酒場支配人 有馬是馬 小野&宮原と因縁の音楽家 高田稔 小杉の過去を知る記者 江川宇礼雄 等々脇役の隅々まで印象的。一瞬乍ら江川部下役で江見渉(のちの江見俊太郎)の顔確認。天知茂の名もあるが見つけられず悔やまれる。音楽 芥川也寸志。脚本の灘千造はこれが初作とおぼしいが新人らしからぬ大胆且つ分厚い構成力と緻密な台詞の妙が素晴しいの一言。本作の他に60年までに4作ほど書いているが以後はないようで詳細不明。

なお驚くことに2003年に同じ脚本によるリメイク作『いつかA列車(トレイン)に乗って』が作詞家 荒木とよひさ初メガホン&津川雅彦主演で撮られ映画批評家大賞の監督賞と男優賞を得ているが一般的にはあまり知られてはいないらしくソフト化もない模様。

 

↓ DVD。本篇での津島は太腿見せず。背後の男は憎しみ持つ元恋人役 中村彰。

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現在は中古のみ(高値)でTSUTAYAレンタルもなし。

 

↓ 小杉が江川をスケッチするシーンのスチール。本篇での江川は中折れ帽姿。

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半村良の長篇小説に『たそがれ酒場』(未読)があるが無関係と思われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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