(※要点記述あり注意) 松本幸四郎『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』松竹版/東宝版

12/11月 新文芸坐 大忠臣蔵映画祭…

http://www.shin-bungeiza.com/pdf/20171203.pdf

…にて『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』(1962東宝 稲垣浩)観た機に 同題作 松竹版(1954 大曾根辰夫)をTSUTAYAレンタルにて視聴。この2作はタイトルと主演俳優(八代目 松本幸四郎=のちの初代 松本白鸚)が同一乍ら他はほとんど異なる異色の関係。

松竹版 https://movie.walkerplus.com/mv23982/

東宝版 https://movie.walkerplus.com/mv20684/

↓ DVD 左 松竹 右 東宝。(東宝は別ジャケ写あり)

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以下個人的に目についた相違(or相似)点等列記し紹介に代える(※双方 内容に深く踏み込む場合あり注意)。

 

 

 

 

松竹 白黒  東宝 カラー。

前半 花の巻が刃傷~城明け渡し 後半 雪の巻が浪士動向~討ち入り…の構成は同じ。

刃傷の原因となる吉良による浅野侮辱に関しては 松竹では浅野の吝嗇が吉良の逆鱗に触れたためとするのみなのに対し 東宝では製塩業を巡る両家の遺恨が遠因とされる。

松の廊下シークエンスでは 松竹は浅野の衣装を巡る一件に触れている(刃傷当日ではないが)のに対し東宝はその点を省く一方 松竹で採られなかった畳替えの逸話を描く。

刃傷直後 東宝では脇坂淡路守(小林桂樹)による吉良打擲があるが 松竹にはなし。

不当裁定の背後に吉良と柳沢の蜜月関係ありとする点は同じ。

浪士動向は諸点大きく異なる。大野九郎兵衛は松竹では臆病さから追放されたとのみしているが 東宝では横領逃亡の面を加味。

松竹では重病のため討ち入りに間に合わない毛利小平太(鶴田浩二=ラストクレジット)が最フィーチャーされるが 東宝では毛利は実質登場していないと思われ 代わりに松竹には出ない寺坂吉右衛門(加東大介)が同様の悲運に遭う設定(史実では毛利寺坂ともに討ち入り不参加で原因は双方諸説ある模様)。なお松竹版で鶴田相手役となる桂木洋子は両作全俳優中最名熱演の感。

東宝では高田郡兵衛(宝田明)が女(池内淳子)と心中し討ち入り不参加となるが 松竹では脱盟と触れられるのみ。

岡野金右衛門(松竹 北上弥太朗/東宝 夏木陽介)が恋人に図面を盗ませる点は同じだが  東宝ではお艶(星由里子)が討ち入り後真相を知るのみなのに対し 松竹でのつや(嵯峨三智子)は討ち入りに巻き込まれ果てる悲劇。

浪人不破数右衛門が加盟懇願し認められる設定は同じ(松竹 水島道太郎 東宝 佐藤允)。

東宝では松竹にない俵星玄蕃(三船敏郎=ラストクレジット)が登場するが 三波春夫の『俵星玄蕃』に出てくる杉野十平次ではなく 堀部安兵衛(三橋達也)と関わる設定。

両作の最大の相違点は「南部坂雪の別れ」のくだり。東宝では大方の例に洩れず間者(白川由美)の存在を因とする愁嘆場とされているが 松竹ではその要素が一切なく 大石が瑤泉院(月丘夢路)にストレートに討ち入り決意を告げ喜ばせるのみ。史実の如何に拘らず劇効果としてはこのシーンの存在意味がないようで呆気にとられる感も…

南部坂に次ぐ大きな相違点は 討ち入りを巡る吉良方の動向。東宝では千坂兵部(志村喬) 清水一角(戸上城太郎) 小林平八郎(中丸忠雄)の御三家?が総登場するが 松竹では吉良方は名前さえ触れられず(中盤で間者が僅かに出てくるが不詳)。個人的には東宝での清水&小林の活躍に注目 小林は安兵衛に容易く斬られ 一方清水は両刀持ち大奮闘魅せる役割(但し池には落ちず)。清水役の戸上は悪役俳優乍ら殺陣名手の由。

また松竹では吉良の息子 上杉綱憲や隣家 土屋主税(東宝では池部良)も登場せず。

主演 松本幸四郎は松竹ではまだ面長の気味あるが 東宝では肉付きとともに丸みが増し 世代的にかすかに記憶する幸四郎の面影(テレビにはほとんど出なかったため雑誌等で見た印象か?)。松竹では遊興シーンで三味爪弾き乍ら端唄ひと節。

東宝では矢頭右衛門七役で幸四郎長男 市川染五郎(現九代目幸四郎) 萱野三平役で次男 中村萬之助(現二代目吉右衛門)出演 弟は多少意味ある台詞あるが兄はほぼ見せ場なし。

東宝のりく役 原節子は映画最終出演作 出番短いが抑えた名演。松竹の同役 山田五十鈴は比較的出演長く その点も含め大石家内情の描きでは若干分あり。

総じて両作甲乙つけ難し。

 

ともにDVD化されているがTSUATYAレンタル取扱はなぜか松竹版のみ(東宝版 劇場観覧決行したのはその理由もあり)。

 

 

東宝版 海外向け予告篇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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