仲谷昇 北村和夫『猟人日記』

3/27火 ラピュタ阿佐ヶ谷猟人日記』(1964日活 中平康)

http://www.laputa-jp.com/laputa/program/mystery2018/sakuhin3.html#26

(結末あり注意) https://movie.walkerplus.com/mv21162/

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仲谷昇。白黒。傑作。観覧を挟み原作(戸川昌子)初読。出版芸術社版を図書館より借り読み始めるも上映に間に合わず後半は観覧後に読了。が前半のみ読んでいたお陰でお話への導入スムーズとなり且つ結末未知の為 全篇楽しむのに役立ち結果的に奏効。重要部含め相当忠実に再現され台詞も援用多し。大きな相違点は映画では冒頭にナレーション(小池朝雄 クレジットなし?)で後半の最争点の1つとなる血液型の解説があるのと 半ほどである伏線シーンが挿入されていること。観覧前の個人的懸念は前半の魅せ場となる猟色展開で主人公が外人を装い片言日本語を駆使する設定があることだったが(むず痒さを覚えた同例多い為)…主演 仲谷の日本人離れした美男ぶりと発語の巧みさにより過度に不自然とはならず。仲谷 完璧な二枚目乍らエキセントリックな眼光と雰囲気で適役&名演。助演陣の最特筆は主人公の妻役が原作者 戸川昌子であることで 短時乍らよくあるカメオや端役でない重要な役どころで台詞もあり仲谷との堂々の渡り合い驚き(72年『鏡の中の野心』での台詞なし客演瞥見歴あり)。映画での原作者出演これまで石原慎太郎三島由紀夫らを観たがいずれも演者としては素人感拭えず 本作での戸川は現代に至るまで史上稀な例ではと。他 北村和夫 後半の主役と呼び得る弁護士役 自然な長台詞含め拍手物の好熱演(翌65年の松竹『この声なき叫び』での同種弁護士役は本作の余波かと思われるが演技はこちらがより冴え)。北村助手役 十朱幸代 ワトスン的位置で適演(原作では「老人」と呼ばれる畑中老弁護士が探偵役となりその助手 進士(しんじ)がワトスン役兼視点人物となるが 映画での北村演じる畑中はより若く進士をも兼ねる感で 助手には原作での女子事務員が昇格した形)。山本陽子 デビュー年無名期で冒頭と回想シーンのみ。中尾彬 2シーンのみ乍ら個性発揮。山田吾一『事件記者』真最中 超多忙期だが長台詞の酔漢巧演。岸輝子(『警視庁物語』で認識した千田是也夫人) 出番少なくも存在感。なお上のポスター ↑ にはなぜか宮口精二吉行和子の名があるが出演しておらず誤りと(宮口は北村の誤認?)。

 

戸川昌子による原作は乱歩賞作『大いなる幻影』(62)に次ぐ長篇2作目(63)で 各国語に訳され海外でも高評価の由。出版芸術社版(ミステリ名作館での復刊)の作者後記には ある米ベストセラー作が『猟人日記』の盗作ではと海外から取材あるも「かえって喜ばしいこと、私は(略)寛大ですよ」と答えたとの記述あり 検索するとS・トゥロー『推定無罪』のことで一部では有名な件らしいが 個人的には同作未読のため如何とも。現在は講談社文庫『新装版 猟人日記』として2015年に再刊。現状古書のみの『大いなる…』に先んじて新刊入手可となるも…それを見届けた翌年(2016)作者物故し惜。 

新装版 猟人日記 (講談社文庫)

新装版 猟人日記 (講談社文庫)

 

 

なお映画版『猟人日記』はこれまで1度もソフト化ないようで意外。ミステリーとしてのみならず多面において秀抜且つ問題作と思われ この際DVD化急ぎ 原作と共に衆目に触れせしめるべきと。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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