西崎憲編『怪奇小説日和』

西崎憲編『怪奇小説日和 黄金時代傑作選』(ちくま文庫)を読む。

https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480431189/

『怪奇小説の世紀』全三巻(国書刊行会)からの選抜作が主体とのことで、同叢書は遺憾ながら第三巻『夜の怪』しか持っておらず、同巻からは本書には選ばれていないようなので(つまりカブっていないので)尚更ありがたい。

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選の上にも選を経てきた逸品揃いで、〈黄金時代傑作〉は真言。オブライエン「墓を愛した少年」エイケン「マーマレードの酒」べリスフォード「喉切り農場」などの寸鉄人を刺す短篇名品と、マージョリー・ボウエン「フローレンス・フラナリー」ヴァーノン・リー「七短剣の聖女」ブリッジ「遭難」エイクマン「列車」ウォルポール「ターンヘルム」などの中篇に近い迫力押しの力篇とがあり、どちらもいいが個人的にはとくに後者の一群の〈物語性の怪奇〉とでもいうべき感興に惹かれる。とくにリー「七短剣…」の豪奢さは出色。また『短篇小説日和』に続いて本書でも西崎憲氏の評論複数が巻末にあり、〈黄金時代〉〈境界〉〈Twilight〉などの言葉を巡る論考が非常に興味深い。中で「モダンホラーはすでに形骸化して久しい」の指摘は事実だけに(否それどころか死滅かも?)耳に痛い。

 

西崎さんありがとうございました!

 

怪奇小説日和: 黄金時代傑作選 (ちくま文庫 に 13-2)

怪奇小説日和: 黄金時代傑作選 (ちくま文庫 に 13-2)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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