キャロル・ネルソン・ダグラス『おめざめですか、アイリーン』

昨年末日暮雅通氏からいただいたキャロル・ネルソン・ダグラス〈アイリーン・アドラーの冒険〉第2作『おめざめですか、アイリーン』(創元推理文庫)拝読。

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2011年にはシリーズ第1作『おやすみなさい、ホームズさん』もいただいており既読。「ボヘミアの醜聞」アナザストーリーとも言うべき波瀾万丈の物語に稚気溢れる仕掛け満載で楽しさ千点満点の作だが、その続篇の本書ではノートン夫人となったアイリーン(アイリーニ)が夫ゴドフリー、友人ネルとともに殺人と陰謀と秘宝の謎が渦巻く〈フレンチコネクション〉に巻き込まれ、ロンドンの諮問探偵ホームズもパリに飛びやがて運命の邂逅へ…というさらなる波乱と冒険の展開の上に、ミステリとしての謎解きと驚きも今回も健在で、とくに〈謎の刺青〉の解読は本家ドイルの「踊る人形」も真っ青?のびっくりさ! また作中にはワトスンを伴わず単身ヨーロッパ大陸に渡ったホームズの自ら書く手記が鏤められ、地中海のまばゆい陽光の中で霧のロンドンを恋しがるあたりがユーモラス。1作目での訳者解説によれば続巻以降ではワトスンの絡むアフガニスタンコネクション、ボヘミア王再登場のプラハコネクション、パリの切り裂きジャックコネクション、トランシルバニアコネクション、ニューヨークコネクション…とますます破天荒にヒートアップしつつ計8作書かれてるらしい。いやこれはほんと凄い、もはやパスティーシュの域を超えた快作シリーズ。何より出会って以来20年以上ファンでようやく紹介成ったという訳者の楽しさが横溢してるのが素晴らしい。自身〈正典〉全集(光文社文庫)の訳者でもある日暮氏が創元版全集(深町眞理子訳)に人名表記や邦題を合わせてこういう作品を訳すという業界横断の盛り上げぶりも微笑ましい。

というわけで日暮さんありがとうございました、シリーズ完訳期待してます、とくにトランシルバニア篇読みたい! 

おめざめですか、アイリーン (アイリーン・アドラーの冒険) (創元推理文庫)

おめざめですか、アイリーン (アイリーン・アドラーの冒険) (創元推理文庫)

 

  

おやすみなさい、ホームズさん 上  (アイリーン・アドラーの冒険) (創元推理文庫)

おやすみなさい、ホームズさん 上 (アイリーン・アドラーの冒険) (創元推理文庫)

 

  

おやすみなさい、ホームズさん 下 (アイリーン・アドラーの冒険) (創元推理文庫)

おやすみなさい、ホームズさん 下 (アイリーン・アドラーの冒険) (創元推理文庫)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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