酉島伝法『皆勤の徒』

気になってた酉島伝法『皆勤の徒』を読む。f:id:domperimottekoi:20140225200958j:plain

目鱗だ。これほどの目鱗は京極夏彦以来だオレには。大体何なんだこの変てこりんな漢字とルビのオンパレードは!? そこに持ってきてこの強烈で独創的な異形の描写。いやほんっとにこれは独創的だ。解説の大森望氏は「ねちょねちょぬとぬとの不気味な世界」と表現してるがそれはラヴクラフトの「ねちょねちょぬとぬと」とは何かが決定的に違う(多分わざと違くしてる)。それとこれだけのとんでもなく変な言葉変な世界を創っていながら文体そのものは実は意外にも平明至極で、その点が独特の詰屈なリズムを駆使する京極と違うところかも。あるいは「言ってることは解りにくいが文章は判りやすい」って意味では先頃のイーガン『白熱光』に通じる? …とにかくこの世界観(つっても解説読んでも世界観自体まだよく解ってないが)の凄さはなまじの例えやジャンル分けすら拒否するものじゃないか。大森さんは「本格SFに幻想文学・言語実験の衣装をまとった」と言っててそれはたしかだろうが、ただこの作家をあまり幻想やホラーのほうに引っ張らないほうがいい──というかべきじゃない。あらゆる枠に嵌めちゃならないこれだけの独創性は。

ほんとに才能ある若い人ってのはいるもんだな(いやそりゃいるさ)。ってことでオレは驚嘆すると同時に嫉妬した。

 

 

 

 

 

 

 

倉阪鬼一郎さんから『クトゥルーを喚ぶ声』南條竹則さんからメイ・シンクレア『胸の火は消えず』を頂戴ありがとうございました! 拝読後またネタにさせていただきます。

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