『事件記者』5

ラピュタ阿佐ヶ谷〈『事件記者』BUNYA-SPIRITS〉最終章。

http://www.laputa-jp.com/laputa/program/jikenkisha/#11

2/28「新・事件記者 大都会の罠」(1966)

【とある飲料メーカー主催のイベント会場で集団中毒が発生、翌日一人のBGが死亡した。事件の背景には熾烈な企業間競争がある模様──。東京映画版「事件記者」第一弾はおなじみの面々に加え、三上真一郎が若手記者役で参加。】

3/7「新・事件記者 殺意の丘」(1966)

 【東京郊外で男女六人の焼死体が発見された。他殺か事故死か無理心中か?記者クラブの面々も現地に前線基地を置き、激しい取材合戦を繰り広げる──。東京映画版第二弾では、地元の通信員という役どころで激シブ芦田伸介が登場。 】

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日活版後に作られた東京映画(≒東宝)版2作。たしかにテイストが大きく違ってるが明らかにわざとやってて、これはこれで試み的にとても面白いと思う。ドラマ版日活版では曖昧だった記者クラブ内の各社の部屋の配置が判り易いようにセットをパノラマ的に見せたり、記者個々人の顔アップを多用したり。だが最大の革新はシリーズの顔とも言える「東京日報」相沢キャップ(永井智雄)を冷静沈着一辺倒から喜怒哀楽のあるキャラに変えたこと。例えば「大都会の罠」では株主企業への配慮で記事が差し止めになると激昂して上層部に談判したり、「殺意の丘」では他社にスクープを抜かれた悔しさから独り喫茶店で憮然と燻ったり。そんな相沢は見たことがなく違和感(嫌いな言葉だが)はあるが、しかしそうした主人公サイドの内部的あるいは感情的軋轢の描写が当時の捜査物ドラマ(尤もこれは映画版だが)全般に欠落していたことを思うとこれは画期的で(良し悪しは別にして)、後年の『踊る大捜査線』以降今に至るまで支配的になる「捜査陣営内部の積極的対立」パターンの遥かな萌芽とも見える…なんてまたも振りかぶっちまったが。

「大都会の罠」では大空真弓金子信雄平田昭彦「殺意の丘」では芦田伸介がゲスト(芦田はポスター ↑ では主演扱いだが本篇クレジットは別)、とくに大空は両作に別役で出てる。あと個人的に目についたのは「殺意…」の福田豊土。20年も続いたというデンターライオンのCM ↓ が有名だが、ドラマでもよく見てたような記憶がかすかにあるので検索したら、どうも『馬六先生人生日記』(1964NHK)かもしれない。当時うちに顔のよく似た中学の先生が下宿しててデンターって仇名だったが、ドラマの馬六先生は医者だったらしい。

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