倉阪鬼一郎他『闇のトラペゾヘドロン』

『闇のトラペゾヘドロン』(創土社)を倉阪鬼一郎氏よりいただき早速読む(※小説のみ)。http://www.soudosha.jp/Cthulhu/yamino.html

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 倉阪氏の今回の作「闇の美術館」は何とマラソン・クトゥルーだ! 「『遠野物語』を引き合いに出すまでもなくスーパーナチュラルなものの宝庫」(=本書より)である東北の地で催される謎の闇平(やみだいら)ウルトラマラソンに参加したランナー黒田祐太郎はやがて〈闇の美術館〉に行きあたる。妖しい学芸員曾爾谷(そにや)みどり(!)に魅せられた倉…いや黒田の運命や如何に!?… ランナーズハイという言葉があるらしいがなるほどこういうことか。大自然の中を走る行為はそれ自体異界に立ち入るためのイニシエーションであるようだ。作者倉阪氏が全国津々浦々を走り廻り研鑽してきたのはこのためだったか!? してみればオレが過日初めて訪れた越後妻有大地の芸術祭も実はそんな〈闇の美術館〉の一つだったのかもしれない。今はなぜか夢あるいは幻のようにすら思えるあのとき聴き/観た東雅夫氏のこの世ならぬ絶唱の舞台をこそ倉阪氏にもまのあたりにさせたかったものだ…

謎のミステリ作家積木鏡介氏の「マ★ジャ」もまた劣らずの怪作。他に友野詳氏のゲームブック作「闇に彷徨い続けるもの」(ゲーム不得手のため未読)、本家ラヴクラフトの「闇にさまようもの」(増田まもる氏新訳)分載初回もあり。 

 

倉阪さんありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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