飛鳥部勝則夫妻2人展『NかМか』

折原一氏のツイート ↓ を見て知った飛鳥部勝則氏の個展…

…ちょうど上京直前(8/18)からだったので訪問。飛鳥部氏が作家になる前から画家だったというのは鮎川賞作『殉教カテリナ車輪』に自作の絵が載せられてたことで知ったが肉筆画を観るのはこれが初。夫人との共催展で、記念小冊子によれば個展タイトル『NかMか』はアガサ・クリスティ長篇(未読)と同題だがそれと直接の関わりはなく、むしろナチュラリズムとマニエリスムの意を含むと同時に絵の世界で氏が敬慕する2人物のイニシャルでもある由。展示作群では氏の個性的な画風を間近で堪能できた。絵画については門外漢だが囚われず自分流に見て楽しむのは好きなので。筆致のリアルさと構図のシュールさ(と呼んでいいのか判らないが)が相俟って醸し出す独特の不思議な世界。〈N氏〉を巡る数点は恩師長森聡氏がモデルで、冊子に載ってる飛鳥部夫妻とのスナップ写真の面差しからもそうと判る。他に特筆物は猫の絵で、どれも細密描写に驚かせられとくに冊子表紙に採られた「佐渡島祭壇画」は彩りも鮮やか。夫人のほうは元々は日本画が専門だそうだが今回は油絵で、ご主人のような奇抜さ──と言うよりそれこそがマニエリスムか?──とは異なるまさにナチュラルさが魅力。
飛鳥部氏のホラー長篇『鏡陥穽』に稲垣考二という画家の絵が載っており絵柄は違いながらもその奇天烈な作風からひょっとして氏の変名では? などと当時思ったがしかし実在の画家と知り却って驚いた記憶が。小説のほうでは近年久しく新作長編が発表されていないので個人的にはまた『鏡…』のような凄い幻想怪奇作をそろそろ期待したい。

 

↓ 阿部勝則「佐渡島祭壇画」(部分 記念絵葉書より)

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↓ 阿部静子 「nu」(記念冊子裏表紙より)

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ところで会場となった長岡の〈ギャラリー創〉初めて訪れてビックリしたのはオーナーが元職場の上司だったこと。田中守氏がその人で多趣味多才で絵も描くとは以前から聞いてたが、現在は画廊だけでなく自ら画家となり日展や光風会展に出品する傍ら絵の講座も営む由。同氏の作品も写真で見せてもらったが近年は同じ人物(特定モデルなし)を繰り返し描くことに固執しているそうでこの絵葉書 ↓ の「刻の風景」シリーズがそれ。こだわりの深さは飛鳥部氏に通じるかも?  

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↓ 2人展は8/23迄なのでもう今日明日のみ。残念ながら飛鳥部さんにはお会いできなかったが土日は在画廊とのこと。

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