11/9月 ラピュタ阿佐ヶ谷『沈丁花』(1966東宝 千葉泰樹)
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/showa_family/sakuhin2.html#11
http://movie.walkerplus.com/mv21837/
↑ 左から京マチ子 司葉子 団令子 星由里子。これは凄い映画だ。豪華さにかけてはこれまで観た昭和映画で最高かも。まず何を措いても4大女優の競艶が圧巻。高島忠夫 小泉博がちょい役 宝田明が当て馬役という配役の贅沢さのみならず高峰秀子(原作脚本松山善三の夫人)が4姉妹を彩る着物の監修担当。仏前 教会 神前と都合3度の趣向変え結婚式シーン等見せ場も盛り沢山。思い切り華やかなオールスターお祭り映画をという製作の意気が伝わるが、もっと肝心なのはお話も演出も決して文芸大作や芸術映画を目指さず(その気になればいくらでもそちらへ向かえたところを)敢えて肩の凝らないコメディとして作っていることで、名優たちもその方針に見事に応える。しっかり者長女役京マチ子とサバけた次女役司葉子ともに溌剌快演、母役杉村春子 流石の硬軟自在。三女団令子と末娘星由里子は出番少なめでやや惜しい(ともに早婚の設定)。『大番』シリーズの名匠千葉泰樹らしい爽やかな感動を呼ぶラストも秀逸。この娯楽性最優先の姿勢こそ拍手万来物。がこれほどの大傑作が今に至るもソフト化されていないのはまたも芸術性偏重慣習の故か。
余談。子供の頃この映画の新聞広告(と紹介記事?)を見た記憶に「沈丁花はちんちょうげかじんちょうげか」の話題があり今回観たら作中にもそんなやりとりが2度ほどあった。一般的には後者のようで今作でも冒頭そのルビが。実際に沈丁花の大群花が1度だけ出てくる。ただこの花がタイトルとされた意味が台詞で仄めかされていたような気がしたがよく憶えておらず残念。
娘(こ)の部屋を仮の書斎や沈丁花 (杉村春子が呟く高浜虚子の句)
.