春日太一『市川崑と「犬神家の一族」』

バカ売れしてる春日太一市川崑と「犬神家の一族」』薄いのでガストで一気読み…

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…と思ったが1章(市川崑の監督人生)後半では未見作について多々書かれているようなので途中から飛ばし2、3章へ(「なぜ『犬神家の一族』は面白いのか」&「石坂浩二による、市川崑の謎解き」)。1、2章は語りの再構成につき「ですます調」なのである種読みやすく、3章は石坂本人への貴重なロングインタビュー。とくに印象深いのは本書の論旨のひとつである「金田一耕助=天使」仮説と、明かされゆく市川崑の驚愕すべき細部へのこだわり。後者は石坂が語る『犬神家…』撮影時の逸話の数々からも伝わる。兎に角恐るべきワンマンだった模様。また脱線話気味ながら隣の『影武者』撮影現場を訪れた際の市川と黒澤明の必笑のやりとりや、リメイク版撮影時の往年と現代の俳優気質の相違なども目を惹く。あと著者は『犬神家…』を論じるとき「本格的ミステリー」という呼び方をしており、「本格ミステリ」などという方言に慣れ過ぎた者の目には新鮮でありやや戸惑うようでもあり。全体としては取材の徹底ぶりと随所の卓見とに大いに感心し目を開かされる一方で、どこかしら首肯し切れないものが残るような気もしつつ… がそれが何かは自分でもよく判らず。「市川崑の演出には長いこと乗り切れ」ず「好きかと聞かれると首を捻」った(「はじめに」より)等わざと大胆な物言いがされているせいもあるかも。

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http://domperimottekoi.hatenablog.com/entry/2015/07/19/050416

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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