11/18水 ラピュタ阿佐ヶ谷『女房族は訴える』(1956東宝 筧正典)
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/showa_family/sakuhin2.html#17
http://movie.walkerplus.com/mv24599/
↑ 佐野周二 三宅邦子 小泉博。これは大収穫! 監督は『新・三等重役』『サラリーマン出世太閤記』と傑作サスペンス『結婚の夜』↓ を観た筧正典で…
http://domperimottekoi.hatenablog.com/search?q=%E7%AD%A7%E6%AD%A3%E5%85%B8
…得意としたサラリーマン物の初期作だが個人的には既見の類似モチーフ2作 ↑ より遥かに秀逸。それらになかった(今特集テーマでもある)〈家族の絆〉の素晴らしさを描く──それも決して説教臭くなく──ことに大成功している。まず兎に角脚本(八木沢武孝)がストーリー&台詞ともに的射まくりの絶品。と同時に俳優陣が揃ってそれを見事に掬いあげる名演。何と言っても主演 佐野周二の達者さに舌を巻く。中坊の頃ある先生が佐野と上原謙を往年の2大二枚目スターに挙げていたのを憶えているが今になって自分の目で見ると演技面では佐野に軍配があがる。と言うより知るかぎりの日本の全俳優の中でも最高クラスではとさえ。台詞廻しも表情も自然さと同時に所謂〈芝居〉としての過剰さをもここまで巧みに併せ持つ人はいない。妻役 三宅邦子 これまで見かけた作ではあまり活かされていなかったが初めて女優としての凄さ目のあたりに。二女 雪村いづみ 喜怒哀楽激しく大熱演+美声2曲ほど聴かせる。長男 江原達治もいつもながら巧み。長女 岡田茉莉子とその夫小泉 比較的出番短いが華やぎある支えぶり流石。重役(柳家金語楼)の愛人 嵯峨三智子 嵌まり役&貴重な出演。ドタバタ喜劇の域までは行かず「コメディタッチのホームドラマ」にとどめられているところも好み。
作中佐野 小泉らが日劇ミュージックホールを楽しむシーンがあるが同劇場の舞台が映画の中に出てくるのを観たのは初かも(本物でなくセットかもしれないが)。一龍齋貞鳳がレビューの司会者役していたがこの年ちょうど『お笑い三人組』テレビ放送開始 人気沸騰の頃。また雪村と江原が参加した『アベック歌合戦』実在の番組だそうだが視たことはなく残念。人気を博したトニー谷は出ていない。