有馬稲子 佐分利信『わが愛』

3/24金 神保町シアター 文豪映画特集 『わが愛』(1960松竹 五所平之助)

http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/program/bungo_list.html#movie10

http://movie.walkerplus.com/mv26291/

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↑ VHSジャケ写。本篇カラー。有馬稲子(28) 佐分利信(51) トップクレジット並列。五所監督による井上靖3部作1作目の由。2作目『白い牙』(60未見) 3作目『猟銃』(61既見 ↓ )。全て佐分利主演でヒロイン其々別。

http://domperimottekoi.hatenablog.com/entry/2014/10/12/131147

中村登『河口』(61)を観たとき松竹は61年に『猟銃』『渦』『河口』3作の井上原作物を集中製作かと憶測したがそれは認識不足で 60年からの五所監督による上記3部作の流れに『渦』(番匠義彰)と『河口』が加えられたと見るのがより正しい模様。

それは兎も角 本作では何と言っても有馬の熱演が最瞠目。冒頭とラストの通夜シーンに挟まれた回想が本篇の過半をなし少女時代の出会いで惹かれてから長じたのち3年間の献身に至るまでを半ばクロニクル風に描く。主舞台を都会でなく中国地方の山村とし 怪しい愛人関係らしい男女が次第に村人に受け容れられていく過程が主演2人のみならず助演陣──浦辺粂子 中村是好 左多美子(のちの左時枝)他──の好演によりある意味一番の見どころとさえ。ときにユーモアを含む大らかな描写と展開が『猟銃』と異なり不貞映画の暗さを拭うがそこには女優有馬の特質も関わる。邦画史屈指の美貌の1人乍ら『猟銃』での山本富士子の妖艶さとは微妙に違うある種清廉な雰囲気がこの映画のテーマ(純愛の高潔さとでも言うべきか)に見事嵌まる。ラスト大アップでの独演 名場面。相手役 佐分利は『猟銃』同様まさに「これぞ佐分利信」な定番演技だが勿論それこそが重要。正妻役 丹阿弥谷津子(個人的には映画初見)ほぼ冒頭のみ。先輩芸者役 乙羽信子も出番短し。芥川也寸志の壮麗な音楽 高効果。有馬が度々着替えて魅せるシックな和装「十日町着物」の協力クレジットあり(特定社名かは不明)。上のジャケ写 ↑ の髪型は通夜の場のみのものとおぼしい。タイトル『通夜の客より  わが愛』とする向きもあるが劇場の紹介に準拠。

因みに有馬 本作翌年(61)中村錦之助と結婚(65年離婚)。

 

原作短篇「通夜の客」新潮文庫春の嵐・通夜の客』所収だが新刊書 絶えて久しく古書も割高。食指惹かれ某筋にて安価調達手配。3部作2作目『白い牙』も観たし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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