6/6火 ラピュタ阿佐ヶ谷『血を吸う薔薇』(1974東宝 山本迪夫)
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/kaikigensou/#08
(ネタバレ注意) http://movie.walkerplus.com/mv18088/
↑ 下 岸田森 田中邦衛 望月真理子 黒沢年男 佐々木勝彦 中央 桂木美加 太田美緒。
『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』(70)『呪いの館 血を吸う眼』(71) ↓ …
http://domperimottekoi.hatenablog.com/entry/2017/05/15/012314
http://domperimottekoi.hatenablog.com/entry/2017/05/28/122733
…に続く『血を吸う』第3弾にして最終作だが 前作から3年後となった裏には諸々事情ある模様。それは兎も角 今作も田中文雄+山本迪夫+岸田森で脚本も前作と同陣。その脚本が今回はとくに趣向凝らされ 単純なドラキュラ借用筋立てではない上に前作以上に複雑な因果因縁を設定(またも「吸血鬼」の語は1度も使われない)。その曰く語りに絡んで田中邦衛が主人公(黒沢年男)の頼りになる味方に配され 独特な持ち味が怪奇映画に意外と利く。黒沢はホラー苦手だそうだが 切迫と冷静のバランスよく 且つ終盤 岸田森との長尺アクションは七転八倒の激演。中尾彬 高橋長英に続きこのシリーズの武器である好ヒーロー像を締め括りで見事確立。またクレジット下位乍ら裏の主役と言える岸田はメイクや表情作りに一段と磨きがかかってきたが それだけに僅か乍ら類型化の気味も。がそれを補って余りあるのが本作最大の特徴である女優陣の大奮闘。望月真理子 太田美緒 荒牧啓子 桂木美加 麻理ともえ の5美女が競艶。誰と誰が犠牲となるかはここでは明かさずにおくが──ヒロイン格は望月 最熱演は太田とだけ。清純派系の望月はテレビでも活躍した(後年 夏まり子と改名) が50歳の若さで物故。太田は東丘いずひ と改名しドラマや舞台へ。荒牧は映画数作出ているが詳細不明。学長(岸田)夫人役となる桂木は本作以前の『帰ってきたウルトラマン』(71-72)レギュラーが有名(個人的にはウルトラシリーズ既見は世代的に『セブン』までのため未知)。麻理は観覧後検索して知ったが何とのちの人気ジャズ歌手 阿川泰子! 同じ74年に鈴木章治とリズムエースのボーカルとして転身したそうで これが最後の女優期作か。が出番僅かで台詞なし。男優陣では近年もドラマでの渋い脇役で見かける佐々木勝彦(名優 千秋実 子息)が岸田部下の美青年役。このシリーズのワンポイントとして有名な?二見忠男が今回も一瞬の名人芸。鍵となる人物「島崎」役の片山滉(かたやまあきら 片山濯は誤り)は50年代からの俳優だが本作4年後(78)56歳で事故死。ラストクレジットの伊藤雄之助は意外にも刑事役だが…活躍なく顔見せにとどまるのがご愛嬌。終局のカタストロフは前作からの模様変えが工夫されグロテスク要素さらに念入りに創られており要注目。3作通して言えるが 少ない人物数で次々犠牲となる危機感を煽るホラーとしては『13日の金曜日』(80)や『死霊のはらわた』(81)の先駆となる面もありそうに。
本作はEvil of Dracula また3部作はThe Bloodthirsty Trilogyとして海外でも人気。
日本ではこんなものも。
11年後(85)の阿川泰子ライブ。
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