6/6火 神保町シアター『夜の流れ』(1960東宝 成瀬巳喜男 川島雄三)
http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/program/hahamono_list.html#movie15
(ネタバレ注意) http://movie.walkerplus.com/mv22946/
↑ 司葉子 三益愛子 山田五十鈴 ↓ 草笛光子 司 白川由美 水谷良重 山田。
監督(成瀬巳喜男 川島雄三) 脚本(井手俊郎 松山善三)ともに大家同士の共同による花柳界舞台の豪華大作。個人的には肩の凝らないお祭り映画を期待したいところだが 結果としては硬軟(あるいは水と油?)のアマルガムが危うくもバランスを保った奇跡的(幸いにもの意味で)佳作の観。冒頭いきなり芸者衆(司 水谷 横山道代 北川町子 星由里子ら)がプールで水着姿披露し目を瞠らせ その辺りの軽めの部分が井手+川島で 主音律となる重い流れが松山+成瀬か などとつい思ってしまうが無論素人の憶測に過ぎず。ただ何組かの筋を並行して語る巧さに井手の特徴が出ているのはたしか。その井手も脚本で加わる『流れる』(56)が成瀬+山田の花柳界映画と言う共通点でまず連想されたが 世上で名作とされるそちらより本作のほうが明るさ華やかさでは格段に勝る(お座敷シーンの全くない前者に比しこちらでは司が踊り本番魅せたり)。俳優陣のトップクレジットは山田と司で 筋の上でもこの母娘の確執が最軸となる。山田は2年前(58)の『悪女の季節』でも喜劇系乍ら娘役 岡田茉莉子との愛憎を激演したが そちらを動とすれば本作での女の業表現は静の名演と言える。クレジットの二番手は三橋達也と宝田明で 宝田と草笛の恋路の行方が次点の軸となる。が宝田は今回は一歩退き 三橋が男優陣最重要の役どころでシベリア帰りの硬派な板前を熱演。他に草笛のストーカー亭主役 北村和夫 料亭オーナー役 志村喬 置屋女将役 三益愛子ら適役揃い。出番少ないが芸者衆の1人に市原悦子がいてある役割を担う。白川由美は志村娘役で花添え程度。最若手芸者役 星由里子はまだ目立たず。また越路吹雪が終盤顔見せ的に配役されるが やや勿体ない感。お話上 中盤及びラストで知らずに観るほうが楽しめる展開があるため 観覧前は検索せずが吉。
↓ 宝田と草笛。
↓ 司 白川 山田 三橋。三橋は抑留で足負傷設定。
↓ 司 三益。本作の芸者衆は島田を結わず座敷に出る設定で 司もこの髪型はラストのみ。
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