加山雄三『さらばモスクワ愚連隊』

6/10土 ラピュタ阿佐ヶ谷『さらばモスクワ愚連隊』(1968東宝 堀川弘通)

http://www.laputa-jp.com/laputa/program/toho-bungei/sakuhin4.html#34

(ネタバレ注意) http://movie.walkerplus.com/mv22196/

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↑右 加山雄三 森田敏子 中央 黒沢年男 野際陽子
原作既読。個人的には日本人が海外で英雄化する話にはどこかむず痒さを覚えざるを得ず好めないのが通例だが これは音楽映画として虚心に観れば奇跡的傑作かも──と言ってもジャズなるものに詳しいわけでは全くないのでそちらの面で偉そうには言えないが 少なくとも 優れた歌謡映画が流行歌の楽しさを教えてくれ 優れたホラー映画が怪気味の面白さを教えてくれ 優れた喜劇映画が笑いの素晴しさを教えてくれるのと同様に 優れたジャズ映画ならば万人に(当方のようなズブの素人にも)ジャズの佳さを教えてくれる筈 と言う意味においてこれは純粋に優れたジャズ映画と言える 小難しいことは抜きにしても。加山がピアノ演奏を披露するシーンが2度あり(中盤の「奇妙な果実」ソロと終盤のセッション)実際に使われた音源はクレジットされているプロピアニスト(八木正生?)かもしれないが加山がピアノもこなせることを考えれば敢えて実演奏でもよかった気も。但し肝心なのは吹替えを使うか使わないかと言った皮相な点ではなく何であれその映像が映画総体の中で持つ説得力あるいは訴えかける力の如何にこそあり その意味で演技音楽両面に強い加山起用は最善。この人以外では成立しなかった映画ではとすら。ただその一方で 最初気になった主人公の英雄性あるいは立派過ぎ加減が加山のあまりに堂々たる存在感により原作以上に増幅された気味は否めないが──それもまたある意味見どころでもある。助演の最注目は伊藤孝雄で 既見作中最好演。終盤のセッションシーンでクラリネットを長尺吹くが吹替えは宮沢昭か。黒沢年男野際陽子は序盤のみで活躍少なく惜しい。モスクワの美少女エルザ役 森田敏子はNDT(日劇ダンシングチーム)とのことだが知らなかったため観覧中はまさか日本人とは気づかず(金髪は鬘らしい)。映画出演はこれ1作か。不良トランペット少年ミーシャ役ピーター・アレクセフは不詳(吹替え日野皓正?)。回想シーンで加山のバンド仲間役に人気ドラマ―富樫雅彦が台詞もあるゲスト出演で 華麗なスティック捌き片鱗魅せ。富樫は2年後(70年)不幸にも刺傷事件により半身不随となるが不屈に活躍の由。また序盤で麻薬のため腕の落ちた設定のジャズバンド(マイルス・ジョンソン・カルテット)役をやるハウス・ロッカーズは何と進駐軍出身者からなる実在グループだそうで近年復刻CDが出ており驚き。本作ライブシーン音源のアップロードあり ↓ 。

 

 

モスクワのバンドが演奏する日本の流行歌に聴き憶えあるもタイトル思い出せず。原作確認すると同じ場面での曲はザ・ピーナッツの「恋のバカンス」になっているが映画では別曲(権利関係?)。いずれ再機会あれば確認したし。

 

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↑ ピーター・アレクセフ 森田 加山。後方レーニン像。(作中にはないシーン)

 

VHS化あるもDVDなし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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