ラピュタ阿佐ヶ谷『女体』(1964東宝 恩地日出夫) 観覧日失念。併せ『肉体の門』2作。
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/toho-bungei/sakuhin4.html#33
(ネタバレ注意) http://movie.walkerplus.com/mv21295/
↑ 団令子。本篇白黒。タイトル「にょたい」でなく「じょたい」。この機に原作(田村泰次郎 短篇「肉体の門」)初読。但し本作はもう1篇「埴輪の女」も加味されているがそちらは現在入手難で未読。団はボルネオ・マヤ役で 楠侑子が関東小政役。原作では小政がボス兼主役格だが本作ではマヤがリーダーのようで主人公でもある。娼婦期と後年の更生期とが交互に(後者から前者を回想する形で)語られるのが特徴で リアルさと時間的立体性に秀でる作劇。娼婦期では新太郎役 南原が存在感発揮。中盤の「牛捌き」シーンの迫力は凄まじく 生きた牛をいきなり刃物で裂いて(『地獄の黙示録』連想)内臓をぶちまけるため現代ではまず不可能な撮影だが 原作のテーマでもある〈肉〉の実存性とでも言うべきものを生々しく表現。また掟破りにより千之赫子(菊間町子役)と団がリンチされるのも原作どおり。団 まさに体張る熱演。坂本スミ子(ジープのお美乃役)は活躍少なし。日活版『肉体の門』と同時期公開 競作となったそうだが 作風&白黒のためもあり比較上地味と受けとられたのではと想像される。
『肉体の門』(1964日活 鈴木清順) 有料Youtubeにて。
(ネタバレ注意) http://movie.walkerplus.com/mv21219/
↑ 上 左から野川由美子(マヤ) 松尾嘉代(お美乃) 石井トミコ(ふうてんお六) 河西都子(小政) 下 富永美沙子(町子) 宍戸錠(新太郎)。『女体』とは異なり娼婦期のみに終始するが 原作にはない地廻りヤクザ石井(野呂圭介)と新太郎との攻防を配する等ストーリーに膨らみを持たせ それに伴う結末の劇的さも独自。町子(富永)とマヤ(野川)がリンチされる設定は小説&『女体』と同じ。リーダーは原作どおり小政で 演じる河西 貫禄あるが 役どころ上は野川が主役の感。牛捌きは殺してからで『女体』級の強烈さまでは至らず。がそれを補って余りある?のが宍戸の肉体の迫力。鈴木清順らしい磊落な雰囲気&幾許かのシュールさが効果的。
『肉体の門』(1988東映 五社英雄) やはり有料Youtubeで。
(ネタバレ注意) http://movie.walkerplus.com/mv17778/
↑ 上 左から 松岡千重(幸子) 長谷直美(お美乃) かたせ梨乃(小政) 加納みゆき(マヤ) 名取裕子(お澄) 山咲千里(お六) 西川峰子(町子) 跨るのは不発弾。下 根津甚八(袴田) 芦川よしみ(光代) 渡瀬恒彦(新太郎)。鈴木清順版を多分に意識し設定&ストーリーともに上回る膨らみ。ライバルグループのボス名取とかたせの対決&友情 日活版の石井に相当する袴田と新太郎の激突も見もの。また原作にも登場する彫師 彫留(芦田伸介)が大きな役割。 かたせ『極道の妻たち』シリーズ2作(86、87)経たあとで貫禄充分。女優陣の脱ぎっぷりが話題となる映画だが実際に目を瞠る大胆さなのはほぼ西川のみで 他は加納とかたせが脱ぐもののやや不明瞭否めず。名取の右腕役 マッハ文朱 根津の手下役 汐路章 志賀勝らもいい味。牛は廃ビルで墜死させる設定で死の瞬間は映さず捌くシーンもないのは時代的にやむなしか(その代わり根津の犬射殺はあり)。かたせ(右)と名取ダンス ↓ 名シーン。
3作いずれ劣らぬ傑作 一概に甲乙丙付け難し。海外では鈴木清順の知名度抜群の為 日活版のみGate of Fleshのタイトルで知られている模様。
1977日活ロマンポルノ版(西村昭五郎 加山麗子) ↓ …
…もいずれ機会あれかし。
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