月丘夢路『美徳のよろめき』

6/24土 ラピュタ阿佐ヶ谷美徳のよろめき』(1957日活 中平康)

http://www.laputa-jp.com/laputa/program/nikkatsu-bungei/sakuhin1.html#02

http://www.nikkatsu.com/movie/20211.html http://movie.walkerplus.com/mv25280/

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月丘夢路。本篇白黒。観覧前 三島由紀夫 同題原作(新潮文庫)初読。お話は概ね踏襲の感だが 原作者は相当気に入らなかったらしく痛罵したとのこと。理由は未詳だが 想像される点幾つか。まず主人公 節子(月丘)の不貞相手となる土屋(葉山良二)が原作のキャラに比しやや武骨を否めず 一方原作ではわざと存在感希薄にされている夫 倉越(三國連太郎)が 映画では大きな比重占めて描かれ 且つ節子の高貴さにそぐわない俗物である点が強調され過ぎているところも。しかもそんな倉越が妻の不貞に薄々勘づき乍ら空とぼけ 節子は結局夫の掌中で遊んでいただけと仄めかされている点も 原作に沿わないと言えば言えそう。事実映画でのトップクレジットは月丘と三國で 節子と土屋の2人劇の観すらある原作とはその面では明らかに印象が異なる。また小説では節子が麻酔なしでの堕胎手術の苦痛を敢えて甘受し自らの罪と罰に陶酔するかのようなマゾヒスティックな描写がかなり衝撃的だが 映画ではその部分が割とあっさり流されており…

…等々と並べてみても所詮門外漢の的外れな憶測に過ぎず 実のところ個人的感想としてはそれら諸点をも含め寧ろ巧く作られた映画ではなかろうかと。最近の贔屓女優で目当てだった月丘 期待にたがわぬ好演。脇では主人公の友人 与志子役の宮城千賀子が原作以上の役割を与えられ 且つ駘蕩な有閑夫人ぶりが目を瞠らせる嵌まり具合。従前あまり観る機会なかった女優だが これは美貌も相俟って助演女優賞級とさえ。原作通り2度印象的場面に登場する按摩役 西村晃 僅か数秒乍ら怪演。宮城の愛人レスラー役 安部徹は苦笑物。他 信欣三 千田是也 芦田伸介 渡辺美佐子 南田洋子 北林谷栄ら顔見せの域。高橋昌也のナレーション適声。

↓ 月丘 葉山。

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↓ 三國 月丘。これは過去シーンのスチールで 現在時点の三國は髭あり設定。

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折しも『あなたのことはそれほど』『昼顔』とドラマ&映画で不貞物が続いており較べてみたら面白そうだが…そちらはともに未見のままとなりそうで残念。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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