長谷川一夫『新・平家物語 義仲をめぐる三人の女』

3/24土 神保町シアター『新・平家物語 義仲をめぐる三人の女』(1956大映 衣笠貞之助)

http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/program/daieidanyu2_list.html#movie03

https://movie.walkerplus.com/mv24478/

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↑ 上 長谷川一夫 大河内傳次郎山本富士子 高峰秀子 京マチ子。カラー。大映男優特集初訪。3部作の2作目で1作目は『新・平家物語』(55溝口健二 市川雷蔵) 3作目は『新・平家物語 静と義経』(56島耕二 淡島千景)。首都京都を制圧し乍ら天下人となり切れなかった木曽義仲の悲劇を描き 英雄性以上に弱さ脆さを見せつける長谷川の表現力 最見どころ。3人の女たちは巴御前(京)の女傑美 山吹(山本)の野性美 冬姫(高峰)の覚悟美と3様の競艶 とくに山本の気合出色。脇では重臣覚明役 大河内の貫録と短時乍ら敵将斎藤実盛志村喬の端然が目を惹く。

個人的には大河ドラマ版(72)欠かさず視るも記憶断片的&原作(吉川英治)未読の為 お話の経緯(史実/虚構の別に拘らず)に関しては無知曖昧否めず。検索によれば義仲による以仁王擁立画策が後白河法皇との対立の決定因となったようだが 映画ではその辺は省かれ 法皇も言及はされるが終始登場せず(義仲を追討した源頼朝 義経も同様)。因みに大河版では義仲(林与一)と法皇(滝沢修)対峙場面記憶にあり(但し巴御前古城都以仁王北大路欣也は憶えなし)。また映画では巴御前を内室(=正妻?)と呼び嫡子義高(子役 滝口マサオ)を巴との子としていたが 史実の巴は山吹と共に側室的な立場で義高も異腹らしく。逆に冬姫は映画では関白藤原基房(柳永二郎)からの短時の人質のように描かれるが実際は義仲の正室となり基房とかなり強い協力関係を結んだ模様。因みに冬姫は正式名 藤原伊子(ふじわらのいし)で 義仲戦死後 源通親(みちちか)の側室となり曽洞宗開祖 道元を産んだ(!)とされるが そのあたり『平家物語』による創作説&冬姫も架空人物説ある由。

ソフト化はVHSのみ(3部作中DVD化は1作目『新・平家物語』のみ)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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