4/18水 神保町シアター『わたしを深く埋めて』(1963大映 井上梅次)
http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/program/daieidanyu2_list.html#movie13
(結末あり注意) https://movie.walkerplus.com/mv20917/
↑ 若尾文子 田宮二郎。カラー。傑作。とは言えお話の大枠は配役から何となく想像つき 真犯人も「順当ならこの人以外なし」と観客の大方が観覧前から既に当然のごとく予想するところで あとは本篇でそれが如何に捻られるか&そこに至るまでの経緯がどの程度牽引力あるかが勝負となるが…後者については相当複雑且つサスペンスフルな展開乍ら… 前者に関しては大きな覆しなく通例に準じる──但し勿論パターン通りであることによって却って溜飲を下げられる2サス調祖型の面白さは強くあり。加えて隙なくテンポよい演出と 俳優陣の好演とが相俟ち 名手 井上 面目躍如の快作に仕上がり。トップクレジットは若尾 田宮のWだが実質は終始出ずっぱりの田宮 単独主演の感。巻き込まれ型乍ら余裕ある腕利き弁護士ぶりが嫌味なく洒脱の極み流石。若尾は出番少な気味否めないが 常時の和装&独特の右前髪(前年の『しとやかな獣』からの流れと思われ)が妖美を湛え切る魅惑。他 頽落な夫 川崎敬三 病身設定がクスリとさせる親分 安部徹 ブレーク前のコケティッシュな江波杏子 序盤のみ乍ら毎度の肌露出担当 浜田ゆう子 切れ味ある警部 村上不二夫 滑稽味ある悪徳弁護士 北原義郎 ら其々見せ場。翌々年(65)始まる『ザ・ガードマン』でお茶の間人気得る前の中条静夫の中堅刑事も目を惹く。
ハロルド・Q・マスルによる同題原作(未読 1962邦訳)は弁護士探偵スコット・ジョーダン シリーズ初作の由で この映画によりやや食指。同シリーズはポケミスで何と7作も出ているらしいが現状全て古書のみ。作者名マスアやマシューの表記もある模様。
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