『アガサ・クリスティ― ねじれた家』
4/19(金)『アガサ・クリスティー ねじれた家』(2017英 ジル=パケ・ブランネール監督)
於 シネマート新宿 https://nejire-movie.jp/
( ↑ 左から アマンダ・アピントン/ オナー・ニーフシー/ テレンス・スタンプ/ クリスティーナ・ヘンドリックス/ グレン・クローズ/ ステファニー・マティーニ/ マックス・アイアンズ/ ジリアン・アンダーソン)
直前に原作(『ねじれた家』ハヤカワ クリスティー文庫Kindle)泥縄読 クリスティー版『〇の〇〇』とも言える衝撃結末作と知る。映画は多々アレンジあり乍らも(舞台を戦前から戦後に移す等々)大枠踏襲の上 雰囲気醸成&目を離させない展開の巧みさ相俟ち 予想以上の傑作。『オリエント急行殺人事件』のような大作ならずとも 作り様で充実した本格ミステリー映像の可能なるを示した秀例と。原作はエルキュール・ポアロの登場しないノンシリーズ物で 映画もその点を活かし徒に名探偵ばかりが目立ち過ぎる悪弊に陥らない点が好感。老富豪の遺言書が一族を翻弄する犬神家構図ニヤリとさせ(肖像画の効果も)。俳優陣 適役揃い ある意味での主役格グレン・クローズの存在感&老刑事役テレンス・スタンプの重厚さ + 軸となる若手マックス・アイアンズ(名優ジェレミー・アイアンズ子息!)&ステファニー・マティーニ(美貌期待株)の抑えた好演が調和。個人的最驚きはヒロイン=マティーニの母役ジリアン・アンダーソン(一世風靡した『Xファイル』スカリー捜査官役ファンゆえに)。その夫役ジュリアン・サンズも『ゴシック』での美男詩人役が記憶あるも 共に年季の渋味増。
監督ブランネールはスリラー物に手腕ある俊英の模様。『ダーク・プレイス』(2015シャーリーズ・セロン主演)観たし。
パンフレットはクリスティー歴代映画化一覧等あり参考に。思わぬ余禄は評論家 霜月蒼(『クリスティー完全攻略』著者)の名エッセイ。「原作の明るいロマンティックさをフィルム・ノワールの硬質なロマンティシズムに変換し(中略)英国式の謎解き推理小説をモダンなクライム・スリラーとして語り直した」
因みにグレン・クローズと言えば何と言っても『危険な情事』(1987)のストーカー女役がトラウマ級の怖さで忘れ難し。テレンス・スタンプはホラーオムニバスの古典『世にも怪奇な物語』(1967)中の「悪魔の首飾り」がこれまた一世一代級の怪演。
スタンプ崇拝を公言する三上博史が本人を訪ね「あの作品で俳優を志しました」と告白し落涙するドキュメンタリー番組が印象に。
↓ こちらは『Xファイル』でのG・アンダーソン&『ゴシック』でのJ・サンズ。
なお『ねじれた家』クレジット序列2種あり エンドロールは実質主演のアイアンズとマティーニが最上位 その前の主要演者紹介(通例は冒頭)ではクローズとスタンプが先。
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